横浜市議会議員 公明党所属 仁田まさとし
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■ 「命」と「健康」を政治手段としてはならない

市民から「なぜ医療費3割負担なのか」質問があるようですが?

3月20日、横浜市会の平成15年度予算議会が閉会しました。その日、「被用者医療費3割負担凍結を求める意見書の提出」という議員提出議案が、民主党、共産党、ネット、横浜みらいより、上程されましたが、賛成少数で否決されました。
  私は、公明党横浜市会議員団を代表して、提出に反対の立場で次のような討論を行いました。
  昨年7月に改正された健康保険法では、サラリーマン本人負担を3割とする一方で、70歳未満の外来の薬剤一部負担(処方の薬が増えるたびに加算されていた)が廃止されたほか、3歳未満の患者負担が3割から2割へ引き下げられました。(これにより横浜市の小児医療費無料化予算も3億6700万円減額されています。)また、当初厚生労働省の試案では、70歳から74歳は2割負担でしたが、公明党の強い主張で1割に据え置かれたり、高齢者入院自己負担限度額1万5千円の対象者が10万人から240万人へと大幅に拡大されるなど、様々に配慮がなされています。さらに、医療保険史上はじめて、2.7%の診療報酬の引き下げが行われました。

もし、医療費が3割負担にならず2割負担のままだと、どうなるのでしょう?

もし、3割が凍結され2割に据え置かれると、

  1. 例えば政府管掌保険では、平成15年度で3400億円もの保険料の追加負担を中小企業とそのサラリーマンに求めることになる。(会期中の委員会で3割負担に反対する共産党の委員に3400億円の財源確保について質しましたが、明確なお答えは戴けませんでした。)
  2. 横浜市予算は退職者保険などに関わる老健拠出金の41億円分が不足することになり、市税の投入か保険料の増額という事態になる。
など、様々な影響が考えられます。

なるほど、ではなぜ今、この意見書を提出しようとしているのでしょう?

WHO(世界保健機構)も評価する日本の国民皆保険が崩壊の危機に瀕しております。 今求められるのは、その抜本改革であり、そのスキームと自己負担3割を上限とすることが、改正法の附則に盛り込まれました。抜本改革に向け、昨年末に、あり方が示され、間もなく基本方針も閣議決定されると聞いています。  そもそも、改正法は昨年7月に成立しました。その意見書は国会の審議中であった昨年3月の第1回定例会で提出すべきであり、成立後でも9月の第3回、12月の第4回、平成15年2月の第1回定例会でも提出できたはずです。しかも、昨年9月には、3割負担を前提として本市条例改正に、共産党を除いて賛成しています。さらに、直前に行われた採決でも3割負担を前提とした平成15年度予算にも同様に賛成しています。  これらのことから、今回の意見書提出は、目前に迫った統一地方選挙目当てと批判されても致しかたのないところと考えます。  人の「命」や「健康」に関わる制度の議論を、政治の手段にしてはならないと思います。